2012年末からのアベノミクス以降、株高と同時にREIT(不動産投資信託)の人気が再燃しています。
株式市場に上場しているREIT銘柄を購入する際の指標に
- FFO倍率
- NAV倍率
という主要指標があります。
今回は、FFO倍率・NAV倍率とはどのような指標なのか?実際に「アドバンス・レジデンス投資法人の資産運用報告」の計算式を交えて、ご紹介したいと思います。
Contents
FFO倍率は小さいほど割安 (≒ PER)
- FFO(エフエフオー):「Funds From Operation」
FFOは「REITの収益力を表す指標」です。
FFO倍率は、株式指標の「PER」と同様の考え方になるため、FFO倍率が低い銘柄ほど割安ということになります。
FFO倍率の計算方法 = 「投資口価格 ÷ 年換算した1口あたりFFO」
まずは投資口価格を出す
アドバンス・レジデンスの2015年4月10日の投資口価格(終値)は297,500円です。
1口あたりFFOを算出する
そして、1口あたりFFOの計算方法は(当期純利益-不動産売却益+不動産売却損+減損損失+減価償却費)÷発行済投資口総数)です。
アドバンス・レジデンスの「第9期資産運用報告」P.9資産運用の概要「1.投資法人の運用状況等の推移」に掲載されている数字を充てていくと
当期純利益 | 65億9,100万円 |
不動産売却益 | 8億3,900万円 |
不動産売却損 | 1億8,500万円 |
減損損失 | ― |
減価償却費 | 25億1,900万円 |
発行済投資口総数 | 130万口 |
(当期純利益:65億9,100万円-不動産売却益:8億3,900万円+不動産売却損:1億8,500万円+減損損失:0円+減価償却費:25億1,900万円)÷発行済投資口総数:130万口
上記計算をすると、1口あたりFFOは6,504円となります。
1口あたりFFOを年換算する
REITの決算は半年ごとです。上記1口あたりFFOも半年分となるため、年換算が必要となります。アドバンス・レジデンスでは1年を365日として第8期営業期間を181日、第9期営業期間を184日としているようです。
「1口あたりFFO:6,504円 ÷ 第9期営業期間:184日 × 365日」=12,902円となります。
FFO倍率=「投資口価格 ÷ 年換算した1口あたりFFO」
そしてFFO倍率を計算します。
「投資口価格:297,500円 ÷ 年換算した1口あたりFFO:12,903円」
FFO倍率=23.06倍
こうして計算してみると、アドバンス・レジデンス投資法人はFFO倍率で見た場合には「若干割高」といえそうですね。
NAV倍率 (≒ PBR)
- NAV(エヌエーブイ):「Net Asset Value」
NAVは「純資産価値」のことです。
NAV倍率は1倍を超えている場合は割高・下回る場合は割安という「PBR」と似た指標になります。
NAV倍率の計算方法 = 投資口価格 ÷ 1口あたりNAV
まずは投資口価格を出す
アドバンス・レジデンスの2015年4月10日の投資口価格(終値)は297,500円です。
1口あたりNAVを計算する
そして、1口あたりNAVの計算方法は(純資産額÷発行済投資口総数)です。
アドバンス・レジデンスの「第9期資産運用報告」P.9資産運用の概要「1.投資法人の運用状況等の推移」に掲載されている数字を充てていくと
(純資産額2,083億7,800万円÷発行済投資口総数:130万口)
上記計算をすると、1口あたりNAVは160,290円となります。
NAV倍率=「投資口価格 ÷ 1口あたりNAV」
投資口価格:297,500円 ÷ 1口あたりNAV:160,290円
NAV倍率O=1.86倍
NAV倍率で見た際も1倍を超えているため、アドバンス・レジデンス投資法人は若干割高ということになります。
まとめ
「NAV倍率」についてはJAPAN-REITのホームページを見れば一発で分かりますし、「FFO倍率」についてはREITの資産運用報告書を見ればいちいち計算はいらないのですが、実際に計算してみると、より理解度が深まります。
