このたび、東京証券取引所の「東証Arrows」を見学してきました。
今回は、東京証券取引所に行くと何が見れるのか?どんなところなのか?写真を交えてご紹介します。
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東京証券取引所(Tokyo Stock Exchange)



東京証券取引所の株券売買立会場は、1878年(明治11年)6月1日より開始されました(それまでは、屋台でお鮨を食べながら取引をしていたようです)。
以来120年以上にわたり様々な歴史を生み出してきたわけですが、マーケットの効率化や売買執行の迅速化に伴い、1999年4月30日をもって平常。
2000年5月9日より「東証Arrows」としてリニューアルオープンしています。

内部の見学が可能な東証Arrowsは東京証券取引所正面入口の裏手にあります。
東証Arrows


入口は簡単な手荷物検査あり。ネックストラップを付けて見学です。料金は無料ですよ。

東証Arrowsの館内マップです。館内は1階と2階に分かれています。
証券資料ホール

手荷物検査を受けたあと、右手に証券資料ホールという資料室があります。ここには、戦前から現在に至るまでの証券関連の資料が置いてあります。このコーナーが実に興味深い。



なんと、音声説明は日本語だけでなく英語と中国語にも対応しています。
明治・大正時代コーナー

明治から大正期に使われていた振鈴。

第四回復興貯蓄債券(拾圓券)売出ポスター(大正14年)。関東大震災(大正12年)の復興債券の告知ポスターだそうです。

財閥創業者一覧。こうして一覧で顔を拝見する機会はなかなかありません。
- 淺野 (淺野總一郎)
- 三菱 (岩崎彌太郎)
- 大倉 (大倉喜八郎)
- 川崎 (川崎八右衛門)
- 住友 (住友吉左衛門)
- 古河 (古河市兵衛)
- 三井 (三井八郎右衛門高福)
- 安田 (安田善次郎)
元不動産屋としては、財閥の名前を見るとデベロッパーしか思い浮かびませんが…。ここで不動産ネタを。日本最古の総合不動産会社は右下の安田善次郎が創業した東京建物(マンションブランド「ブリリア、Brillia」のデベロッパー)です。

明治20年代の「兜町・茅場町」周辺略図。
株券展示コーナー
こちらは色んなデザインが入った古い株券が展示されています。

南満州鉄道株式会社株券。下部中央に列車が描かれている。

満州電信電話株式会社株券。下部中央に本社ビル。
株券に見る今・昔


今は”存在しえない”会社や、今も第一線を張る企業の株券まで。株券をひとつひとつ見ていると、あっという間に時間が過ぎていきます。

富士フイルム[4901]の株券(昭和12年、1937年発行)。当時の社員および株主は、まさかこの会社が80年後に化粧品を販売してるとは思わないでしょうねー。

こちらは大日本航空株式会社の株券。戦後に解散してしまいましたが、同じ航空機メーカーの中島飛行機は富士重工業(スバル)[7270]に引き継がれていますし、もし大日本航空が別の道を歩み、別の会社で存在していたとしたら、どのようなモノやサービスを提供していたのだろうか…と思いを馳せるのも楽しい。
証券市場クイズ

中央には証券クイズのコーナー。
昭和時代コーナー

大日本帝國政府支那事變行賞債券(六十圓)。満州事変を記念して発行された債券です。

こちらは新興財閥の創業者。
- 日産 (鮎川義介)
- 理研 (大河内正敏)
- 日曹 (中野友禮)
- 日窒 (野口遵)
- 森 (森矗昶)
ここで再び不動産系ネタを。累計建築戸数日本一の積水ハウス[1928]と、積水化学工業のセキスイハイムの源は積水産業株式会社(現:積水化学工業株式会社[4204])です。さらにその源は日本窒素肥料株式会社(現:チッソ株式会社)にまで行き着きます。
戦後、財閥が解体された際に、化学繊維製造技術を受け継いで一部が旭化成[3407]に流れ、他の一部が積水産業が流れました。つまり、積水ハウスとセキスイハイムは兄弟、旭化成のへーベルハウスとはいとこのような関係にあります。

東証開設時の会員名。1997年に廃業した山一證券の名も。
1階は受付でお土産も販売しています(後ほどご紹介します)。エスカレーターで2階に行きましょう。

株式体験コーナー


2階の中央には「株式体験コーナー」というブースがあります。係員に声をかければ、入室して売買を体験できるようです。
株に興味はあるけど、やったことないという方にはいいかもしれません…が、実際に自分のお金で売買した方がはやいと思いますけどね。中にはタブレット端末が4、50機ほど設置されています。
マーケットセンター


圧巻です。そして、静か。はりつめたような静寂の中、円形の電光掲示板に株価が映し出され、ぐるぐると回っています。
ここの前で記念撮影してる人が多かったですね。



「Stock Voice」の番組収録はあのあたりで行われていそう。



みなさん、持ち株はだいじょうぶですか?
歴史写真パネル(回廊)
マーケットセンターをぐるっと囲うように回廊がつづきます。この回廊には、東京証券取引所の歴史写真パネルが掲載。




笑ったのがこれ!空調が壊れて、氷柱を持ってきたらしい。

折り返し部分は、東京証券取引所の入口を建物内部から。





回廊の途中にはリフレッシュコーナーもあります。
その他施設


マーケットセンターからつづく階段を下りると、インフォメーション・テラス。ここには、東証に上場している企業の提出書類などが閲覧できます。隣に有料のコピー室があるので、気になるものがあれば写しを取れるのかも。

東証アカデミー・スクエアはセミナーなどを開催する場所のようです。
お土産コーナー





お土産コーナーに置いてある商品は、薄利多売なのか買い求めやすいお値段です。
私はアローズくんボールペンとJPXピンバッジを購入しましたが、なんとどちらも100円のため、お会計200円。安い!
兜神社

東証Arrowsの出入口を外に出て右手に進んだ先に、「兜神社」という神社があります。ウォール街ではチャージング・ブルを触らなかったにもかかわらず、この神社では、ちゃっかりお参りしてきました。

高速道路の下です。

上場の鐘
そして帰りの電車。いや~東証アローズ、想像してたよりも面白かったなー、と振り返りながら東京証券取引所見学フロアマップを見て…。
み、見忘れた―!あの鐘を!「上場の鐘」を見てない!これは残念…と思いながらスマホで調べてみると、どうやらこの鐘が設置されているテラスには入れないようです。しかし、マーケットセンターの周りの回廊からは望めるとのこと。
デジカメで撮った写真に写っていないか、撮影した写真から探す。すると…かろうじて写っていました。


画面中央に見えるのが、上場時に鳴らす「上場の鐘」です。いやー、ほとんど見えませんね(涙)
ちなみに、あの上場の鐘は、戦前に製造されたらしいです。
まとめ
行く前は「たいしたことなさそう」と思っていたのですが、実際に東証Arrowsを見学してみたら、興味深いし面白かったです。特に1Fの証券資料展示コーナーは必見ですね。
結局、2時間ぐらい滞在してしまいました。遠方の方で株好きの方は、東京観光する際のルートに入れてもいいぐらいのクオリティです。
さて、さいごに…。

東京駅八重洲口近くの「みずほ証券本店営業部」。この株価ボード、見覚えありませんか?
“なんとかショック”が来ると、サラリーマンが足を止めて不安そうに見つめる、あの株価ボードです。
東証アローズ見学の際は、こちらもぜひ!
東京証券取引所(東証Arrows)
- 住所 東京都中央区日本橋兜町2番1号
- 交通 東西線 茅場町駅(出口11) 徒歩5分
日比谷線 茅場町駅(出口7) 徒歩7分
都営浅草線 日本橋駅(出口D2) 徒歩5分
JR東京駅(八重洲中央口) 徒歩20分 - 電話番号 03-3666-0141 (株式会社東京証券取引所:代表)
- 開館時間 9:00~16:30 (土・日・祝祭日・年末年始を除く) 最終入館時間16:00
- 入場料 無料