マンション売却における不動産買取のメリットとデメリット

マンションに限らず、マイホームや相続で得た土地を売却する際に、「買主」を大きく分けると2種類です。

  1. 不動産仲介業者の仲介で「一般客」に売却
  2. 不動産仲介業者の仲介で「不動産買取業者」に売却

比率として圧倒的に多いのは、1番の「買主が一般客」です。
売主が不動産仲介業者に査定依頼を行い、媒介契約後に一般客向けに告知を行うという流れがスタンダードです。

一方、割合としては少ないものの、2番の「買主が不動産買取業者」というケースもあります。

この記事では、不動産買取業者へ売却する際のメリット・デメリットを解説します。

目次

不動産買取のメリット

  1. 早期売却が可能(現金化する時期の目途を立てやすい)
  2. 周囲の住人に、売却していることを知られにくい
  3. 週末の予定を入れられなくなるストレスがない

早期売却が可能(現金化する時期の目途を立てやすい)

不動産買取業者の多くは、融資を受けずに「自己資金一括」で物件を買い取ります。
融資がなければ審査などの時間が省けるうえ、不動産買取業者自体も「時勢が変わらないうちに早く買い取ってリフォーム(リノベーション)を行い、販売・決済したい」と考えているため、売買契約から決済までスピーディです。

特に、不動産買取業者の中でも「マンションの買取業者」については、とりわけ迅速です。
分譲戸建住宅であれば解体後の区画割や間取りなどの検討に時間を要しますが、マンションの買取業者は過去の経験から立地、マンション名、採光の向き、築年数、専有面積などからリフォーム費用を勘案して買取価格を算出するので、マンション買取業者によっては「丸一日」で買取価格の回答が出ることもあります。

売主としては、不動産買取業者への早期売却によって「マンション売却の資金を早期に確保」することができ、新しい住居の購入資金などに充てることができます。
細かい話ですが、マンションの維持管理費などの経費を削減することもできるでしょう。

買い替えの場合

マンションの売却資金を別の住宅を購入するための資金に充てる、つまり「買い替え」を行う場合、新規購入する方の不動産売買契約書には「3ヵ月以内に売却できなければ白紙解約」という「停止条件付の特約条項」が付いています。
つまり、売却活動が上手くいかなければ新規購入する方の「売買契約は白紙」になるということです。

不動産買取業者の買取価格を予め知っておくことで、「3ヵ月以内で売却できなかった最悪の場合の買取先を確保」しておけるので、買い替え時の不安を和らぐことができます。

相続の場合

諸般の事情から「相続」が発生することもあるでしょう。
相続する財産が「基礎控除額」の範囲内で収まる場合は問題ないものの、基礎控除額で収まらない場合は相続税を納付する必要があります。

相続税の申告は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うことになっています。
例えば、1月6日に死亡した場合にはその年の11月6日が申告期限になります。

No.4205 相続税の申告と納税|国税庁

「相続した不動産を売却して現金化」しないと、相続税を支払えないケースもあるでしょう。以下、相続税の基礎控除額です。

2014年12月31日まで5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
2015年1月1日以降3,000万円+600万円×法定相続人の数
相続税の基礎控除学

2015年1月1日以降は「相続税の基礎控除額が大幅に縮小」されたため、「実質の大増税」であると騒ぎになりました。

不動産買取業者の買取価格を予め把握しておけば、「相続税の納付期限から逆算したスケジュール」を立てられます。

周囲の住人に、売却していることを知られにくい

不動産仲介業者の売り出し(広告)によって、一般客に対して売却する不動産を周知する場合、以下のような媒体への掲載が考えられます。

  • 指定流通機構(REINS)への掲載
  • 自社の不動産情報サイトへの掲載
  • 不動産情報ポータルサイトへの掲載
  • チラシの配布(ポスティング)
  • オープンハウスの開催

ポスティングや新聞折込チラシ、あるいはオープンハウスの開催で集客を図る場合、当該マンションはもちろんのこと近隣住人の多くに「売却している」ことを知られることになります。

なかには「売っていることを絶対に周りの人に知られたくない」という方もいらっしゃいます。

不動産買取の場合、現地を見に来るのは「不動産買取業者」と「リフォーム業者」ぐらいですから、近隣住民の方に知られるリスクが少ないです。

週末の予定を入れられなくなるストレスがない

不動産仲介業者を通じて一般客向けに売却する場合、一般客の大部分が「土日休み」です。
そのため、購入検討者の内覧希望が入るのは、ほとんどが週末となります。

売却物件に居住中の場合、「午前中なのか、午後なのか、案内の予定がいつ入るか分からない状態」がつづくため、「週末の予定を入れづらい」という状況になりがちです。
案内の前には「より良い物件」に見せるるべく、室内の掃除、庭付きであればお庭の手入れをしなければなりません。

不動産査定額を「相場価格」で査定する不動産仲介業者であれば、売却活動を開始してから案内が入り、場合によっては2週間程度、長くても2、3ヵ月ぐらいで不動産売買契約まで完了します。

それでも「できるだけ査定価格が高い不動産仲介業者にお願いしたい」というのが、売主の心理というもの。
相場価格からかけ離れた高い金額で査定を行った不動産業者に売却依頼することもあるでしょう。
その場合、3ヵ月経っても、半年経っても売れず、週末の予定が埋められないストレスと付き合っていくことになります。

不動産買取のデメリット

市場の相場価格よりも成約価格が安い

不動産買取には、大きなデメリットがあります。
それは、「市場の相場価格よりも成約価格が安くなる」ということです。

不動産仲介業者が仲介して一般客に売却する場合、買主のほとんどは「自身が居住するために購入」します。

一方で、不動産買取業者が買取購入する場合、内装のリノベーション(戸建の場合は外装も)を行い、かつ不動産買取業者の「粗利益」を乗せて、最終的に一般客に向けて販売します。
つまり、不動産買取業者の粗利分だけ、相場価格よりも安い金額で契約することになります。

不動産買取業者によっても異なりますが、最低でも7、8%、一般的には10%程度の粗利を確保する事業計画を立てるでしょう。

不動産買取の流れ

不動産買取業者による買取の場合は、以下のようなスケジュールで進みます。

  • 不動産買取業者・リフォーム業者の内覧
  • 不動産売買契約
  • 残金決済(引渡し)

不動産売買契約から残金決済(引渡し)までの期間の目安は、以下の通り。

不動産買取業者売買契約から決済(引渡し)までの期間
キャッシュで購入できる不動産買取業者数日(ケースによっては、不動産売買契約と残金決済を同時に行う一括決済も可能)
ローンを組んで購入する不動産買取業者3~4週間程度
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