住宅ローンを使ったマイホーム購入はレバレッジを使った不動産投資である

FX(外国為替証拠金取引)やCFD(差金決済取引)は「レバレッジ取引」ですが、住宅ローンを利用したマイホーム購入も実は「レバレッジ取引」です。

今回の記事では、住宅ローンを使ったマイホーム購入が不動産における信用取引であることを、具体例を用いて簡潔にご紹介します。

目次

レバレッジ取引とは

レバレッジとは「てこの原理」のことです。

外貨預金で「100万円分」の取引をしようとする場合には「100万円」が必要(レバレッジ=1倍)です。
その一方、レバレッジ取引のFXでは「約4万円」の証拠金で「約100万円分」の取引をすることが可能(レバレッジ25倍)となります。

そのため、レバレッジの倍数を上げていくことで、口座に入れた取引証拠金よりも大きな金額の取引(リターンもリスクも大きくなる)をすることができます。

レバレッジ1倍の場合はリスクが投資金額に限定される

レバレッジ1倍の外貨預金の場合は、購入時の100万円の価値が目減りして80万円や50万円になることはあっても、投資金額以上にマイナスになることはありません。

つまり、レバレッジ1倍の場合はリスクが投資金額に限定されています。

レバレッジ1倍を超える場合は投資金額より損する可能性がある

一方でレバレッジ取引のFXは、個人口座の場合レバレッジ「25倍」まで取引が可能です。
そのため、自分が保有しているポジションと逆方向に大きく動いた場合、自分が口座に入れていたお金よりマイナスになる可能性を秘めています

レバレッジ取引は「諸刃の剣」です。
そして使い方を誤り、退場する人が後を断ちません。
そのため「FX=危険」というイメージが根付いています。

しかし、同じように気付かずにレバレッジ取引をしている人はたくさんいるのです。
そう、住宅ローンを組んでマイホームを購入している人たちです。

住宅ローンを利用する分だけ「リスク&リターン」の振れ幅が大きくなる

以下、話を分かりやすくするために、仲介手数料や登記費用等の取得経費および売却経費諸々を省略します。

レバレッジ1倍

仮に、1,000万円で購入できる物件があったとします。

購入金額1,000万円
購入時の自己資金投入額1,000万円

住宅ローンは使わずに、自己資金1,000万円のみで購入しました。
しかし、購入後すぐに、天災地変等何らかのリスクが発生し、物件金額が5分の1の200万円の価値になってしまったとします。

売却金額200万円
購入時の自己資金投入額1,000万円

購入時の自己資金投入額1,000万円に対し、売却金額は200万円。
つまり、800万円のマイナスとなります。

しかし、先程説明した外貨預金と同じく、レバレッジは1倍のため自己資金投入金額以上に損をすることはありえません

レバレッジ5倍

さて、もう一方のケースを見ていきましょう。5,000万円の物件があったとします。そして、以下の条件で購入したとします。

購入金額5,000万円
購入時の自己資金投入額1,000万円
住宅ローン4,000万円

何の変哲もないマイホームの購入計画です。
よくある資金計画とも言えます。
先程と違うのは、住宅ローンも利用している点です。

このケースでも、購入後すぐに何かしらのリスクが発生し、物件金額が5分の1の1,000万円の価値になってしまったとします。

売却金額1,000万円
購入時の自己資金投入額1,000万円
住宅ローン4,000万円
住宅ローン完済補填自己資金3,000万円

この時点でこの物件を売却した場合どうなるでしょうか?
売却する際は、保証会社の抵当権を抹消する必要があるため、先に住宅ローンを完済する必要があります。

4,000万円の住宅ローン残高に対し、売却金額1,000万円を投入したとしても、別途住宅ローンを完済するための3,000万円が必要です。

そのため、購入時に支払った自己資金1,000万円と住宅ローン完済補填資金3,000万円を足した4,000万円がこの物件の購入によって被ったマイナスとなります。

購入時の自己資金投入額1,000万円に対し、4,000万円も損をしてしまったことになります。
原理はFXやCFD等のレバレッジ取引と同じです。

住宅ローンを利用しレバレッジを掛けた分だけリスク&リターンの振れ幅が大きくなります

まとめ マイホーム購入は「不動産投資」である

マイホームの購入を不動産投資と切り離す方が多いように思いますが、マイホームの購入はまぎれもない「不動産投資」です

自己資金を利用してのマイホーム購入は、自身のポートフォリオの日本円(自己資金)を不動産に置き換えることになります。

そのため、不動産を購入した後、自身のポートフォリオの不動産の価値が地価や実勢価格の上下により影響を受けます。
そして、住宅ローンを利用している場合はレバレッジをかけた分だけ、より影響を受けることになります。

ここではマイホーム購入派が良いか賃貸派が良いかということまでは言及しませんが、マイホームを購入される方は将来その物件の価値がどうなるかまで考えた上で購入されることをおすすめします。

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この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 確かに、住宅ローンはレバレッジを使った不動産投資ですね。
    バブル全盛期のころは今では信じられないくらいの高価格、高金利で不動産を購入していた人も多数いましたが、不況になり金利負担に耐えられなくて不動産を売却や、最悪競売になったことも多かったです。
    現段階では不動産価格もそれほど高くはなく住宅ローンの金利も低金利なので賃貸を借りている人には購入も手ですが、不動産投資ローンで物件を購入して大家となると、FXや信用取引とほぼ同じ状態になりますね。
    この住宅ローンもしくは不動産投資ローンのリスクとしては、やはりいずれ上がるであろう金利負担、管理費積立金、固定資産税、時には地代という確実にかかってくる支出、大家だとしたら所有している不動産の空室リスクでしょうか。
    投資という面に重点を置くと、年間予想利回りを表面利回りで計算しているところが多く、実質利回りでは5%くらいのところが多いように感じますけど、不動産の営業をしていたアオキさんはどう思いますか?
    5%の利回りで20%近くが空室リスクの可能性があると仮定すると、得られる可能性のある利回りは4%ほどになりますし、売買をすると必ず不動産会社の手数料がかかってくるので・・・個人的には不動産投資はそれほどうまみはないと感じています。
    囲い込みの記事も読みましたが、やはり不動産会社は自社の利益ばかり追求して物件を外に出したくないようなので、多少売買が遅れても自社に有利に事を進める節があります。

  • guguさん、こんにちは。

    不動産投資をやるにしてもエリアについては都心部を中心(人が集まってくるエリア)に、地方には手を出さないのがベターだと思います。人口減少の一途をたどる日本では、将来的に物件供給過多が予想されますが、入居者が埋まっていくのは「都心部から」だからです。ただし、首都圏直下型地震などのリスクは残りますけどね。

    また、実質利回りについては難しいところですね。地方のワンルーム等は表面利回りが10%を大きく超えていたりする物件もありますが、空室リスクや修繕費等を考えると割に合わない物件が多いです。一方、都心部だと表面利回り5%を切っていたりして旨味が少なかったりします。

    やはり、ネタ元を押さえて、情報鮮度が高い(ネット等に掲載されていない)都心部物件を狙っていくのが得策だと思います。

    とはいえ…エリアリスクも分散されていて、煩わしい負担もない「REIT」をポートフォリオの一部に組み込んでおくので十分だとは思いますね。

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