新築分譲マンションの「登録完売」は「完売していない」という真実

Yahoo!不動産やSUUMO(スーモ)等の新築分譲マンションのホームページや折込チラシ・DMなどを見ていると「第1期登録完売御礼!」という文字が踊っていますが、そもそも「登録完売」とは何なのでしょうか?

「登録完売」は一見すると「完売」しているようにしか見えません。そして、次のような印象を持ちませんか?

「第1期完売したのか。結構人気があるな。一回見に行ってみようか(もしくはもう一度見に行って見ようか)」

これが狙いです。

 

目次

“登録完売” は「完売していない」

販売機の「期分け」について

新築分譲マンションの販売の場合、その多くが「期分け」して販売を行います。期分けとは、「第1期」「第2期2次」といったように販売期を分けることです。

特に財閥系や電鉄系(三井・住友不・野村・東京建物・東急ほか)のデベロッパーが絡んでいるところは、期分けをしているところが多いでしょう(今は中小デベロッパーもそうでしょうか?)。

「登録完売」とは?

さて、新築分譲マンションのとある販売期がオープンした後、モデルルーム案内会等や各種イベント(FP相談会・設備説明会等)を経て、その期の大詰めに進んでいきます。それが以下です。

  • 要望書(その期の供給住戸=販売住戸の選定)
  • 登録(買いたい住戸の提出)
  • 抽選(登録した住戸の抽選)
  • 申込(購入の意思表示)
  • 契約

その期の供給住戸が上記5番目の「契約」まで終わっていれば見事文句なし「完売」です。一方、上記2番目の登録が供給住戸全てに登録されれば「登録完売」となります。

「完売」と「登録完売」の大きな”違い”

完売と登録完売には大きな違いがあります。

登録完売は契約していない住戸があるということです。つまり、言い換えると、登録完売は完売していないのです。

[aside type=”normal”]補足ですが、登録完売の表記については不動産公正取引協議会にヒアリングしても「問題なし」です。どこもやっていますからね。[/aside]

さて、「登録完売」という表記をしているということは、上記スケジュールの登録受付開始後、申込や契約の前にキャンセルの住戸が出たか、あるいは、そもそも登録が入らなかった住戸に事業主・販売会社が「ダミー登録」をしているか、いずれかの線となります。



 

分譲事業主・販売会社は”先着順販売”には何が何でもしたくない

「登録完売」にして、売れている”風な”物件につくりあげる

さて、ここでひとつ質問です。

分譲マンションや分譲戸建住宅のウェブサイトやDM等を見て、

  • おかげ様で第1期登録完売御礼!
  • 先着受付住戸販売中!

の2つを見てどのような印象を持たれますか?

おそらく1番目は「お!売れてるなぁ。この物件は人気があるんだ。」と思いませんか?2番目は「なんだ、余った住戸があるのか?売れてないのかな?」という印象を持たれるかと思います。

買主目線

不動産というのは一生に一度と言われる「大きな買い物」です。失敗して家族に迷惑をかけられません。住んだ後に貧乏くじ(売れない物件)を引いてしまった後悔もしたくありません。

やはり人気があるor売れている物件なら間違いないだろうという買主側の心理があります。

事業主・販売会社目線

分譲スタート(特に第1期)で「先着順受付」とはしたくありません。

「登録完売」というキーワードを使用して、売れている”風な”物件に仕立て上げたい

完売という2文字が入るキーワードは、広告宣伝費をいくらかけても手に入らない、超貴重なワードなのです。

[aside type=”normal”]補足ですが、販売残戸数が少ない分の終盤戦になれば、あえて「先着順受付」にして値引きして完売してしまう戦略はあります。[/aside]



 

登録には”ダミー”がある

新築分譲マンション抽選会のトリックでも述べましたが、抽選会ではダミーが行われていることが往々にしてあります。ダミーを増やし、検討客を上手く振り分けて「完売」させるためです。

そして、このダミー登録は「要望書を経て供給されたけれども、登録が入らなった住戸」にも行われるケースがあります。販売業者の社員が登録用紙に偽名や偽の住所を書いて登録とし「登録完売の体(てい)」を作ります。

その後、抽選に移り、全住戸に「登録」が入ります。

事業主・販売会社は「登録完売という貴重なキーワード」を入手し、次の期の広告(WEB、折込チラシ、中吊り等の交通広告、ダイレクトメール)に使用されていきます。



 

さいごに

各社、あらゆる手段を使って、売れている体裁をつくっていきます。

私が笑ってしまったのは、「おかげ様で800戸供給御礼!」というパターンです。供給御礼とは、販売住戸として供給しただけで、契約しているとは一言も言っていません

分譲事業主・販売会社はあの手この手を使って「売れてる感」を演出します。

売れてる感ではなく、本当に売れている物件なのかどうか、見極める眼力も必要かもしれませんね。

さいごまでお読みいただきありがとうございます。この記事が気に入っていただけたら、SNSでシェアいただけると嬉しいです。

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