この記事は、これから「新築マンションや新築分譲戸建住宅の抽選会」を控えられている方向けです。
「抽選会」になる分譲物件というのは、デベロッパー(売主)が本広告で提示した正式販売金額でも、購入したいと思う方が複数いる(正式金額を基準にしても、需要がそれ以上に高い)物件の裏付けです。
そう考えると、良かった・安心できるといえます。
しかし、一方では「抽選に当たらなければ意味がない」ということで、何としても当選したいという気持ちがあるでしょう。
結論からお伝えすると、「抽選会」ではトリックやカラクリで意図的に操作ができます。
非公開抽選であれば、いくらでも内部や裏で操作ができますが、実は、公開抽選でもトリックが可能です。
今回は、「新築分譲マンションの抽選会のトリック」をご覧いただきましょう。
なぜ「抽選会」を行うのか?
デベロッパー(売主)は、なぜ「抽選会」を行うのでしょうか?
なぜって…、1つの住戸に購入希望者が重なったから抽選を行うのでは?
そうです。
それも理由のひとつです。「希望住戸が重なったから抽選会を行う」というのが、抽選会を行う大義名分であり建前です。
しかし、デベロッパー(売主)・販売会社にとっては、別の理由もあります。
以下、抽選会を行う3つの理由です。
「抽選会」を行う3つの理由
- 1つの住戸に登録(購入希望者)が重複したため
- 抽選会を大々的に開催し参加してもらうことで「人気感」を刷り込みたい
- 供給した住戸(販売住戸)を「完売」させるために「客をうまく振り分ける」場面をつくりたい
2番目と3番目が、デベロッパーサイドが抽選会をやりたい本当の理由、つまり本音です。
抽選会に実際に参加してもらうことで、「この物件やっぱり人気なんだ!」と再認識してもらえます。
人気物件であるという刷り込みができれば、仮に抽選で外れてしまったとしても「自分の買おうとしている物件は間違いない!」と、次期分譲で申し込んでくれる可能性が上がります。
では、3番目の「客をうまく振り分ける」とは何でしょうか?
ここから先は、わかりやすく具体例でご紹介します。
客を振り分けるとは?
あなた(Aさん)は新築分譲マンションの「最上階5,000万円」と「1階3,000万円」の2つの部屋が気に入りました。
販売会社の営業マンは、あなた(Aさん)の「年収・自己資金・ローン返済比率」を計算したところ、「どちらの住戸も問題なく買えます」と言っています。
しかし、あなた(Aさん)自身としては支払いのことが不安なので、できれば「1階3,000万円」の住戸を購入したいと考えています。
ところが、別の方(Bさん)も「1階3,000万円」の住戸を検討していると営業マンから言われます。
そしてBさんの「年収・自己資金・ローン返済比率」を計算したところ、Bさんは「1階3,000万円」の住戸しか買えません。
さて、次の展開です。
あなたは営業マンからこう言われます。
カラクリ抽選会への序章
営業マンの振り分けチャレンジその1
● 営業マン
1階3,000万円のお部屋には、他にも検討されている方(Bさん)がいます。
その方は資金計画上、1階3,000万円の住戸しか買えませんので、抽選覚悟で突っ込んできます。
Aさん、抽選というリスクを避けるのであれば最上階5,000万円の住戸を検討しませんか?
ここであなた(Aさん)が「はい、最上階の5,000万円の住戸にします」と言えば、それでこの話はお仕舞いです。
見事、営業マンは振り分けをすることができました。
しかし、あなた(Aさん)がやはり「1階3,000万円の物件が第一希望です!」という気持ちが変わらないのであれば、その気持ちを営業マンに伝えることになるでしょう。
さて、ここでの返しが、ひとつのターニングポイントです。
ケース1:「1階3,000万円の住戸しか買いません!」⇒○
○ あなた(Aさん)
今は、1階3,000万円の住戸の購入しか考えていません。
● 営業マン
(なるほど、結構意志が固そうだぞ…)
ケース2:「1階3,000万円で外れたら、最上階5,000万円を検討します!」⇒×
○ あなた(Aさん)
とりあえず今回は抽選覚悟で1階3,000万円を申し込んで、抽選で外れたら、最上階5,000万円の部屋に申し込みます。
● 営業マン
(ふむ…、なるほど、1階3,000万円の抽選で外れても、最悪の場合、最上階5,000万円の部屋を買ってもらえるかも。)
上記のように「二段構えもいとわない」ような雰囲気を出してしまうと、抽選会でイカサマを使ってあなた(Aさん)を1階3,000万円の住戸で外し、最上階5,000万円に振り分けられる可能性が出てきます。
直前に検討者(倍率)が増える
さて、上記のケース2「とりあえず今回は抽選覚悟で1階3,000万円を申し込んで、抽選で外れたら最上階5,000万円の部屋に申し込みます」という「二段構え」の展開で考えましょう。
いよいよ抽選の日が近づいてきました。
抽選は公開抽選です。「1階」の抽選倍率は2倍と聞いています。
ところが、抽選会の前日に営業マンから電話がかかってきます。
営業マンの振り分けチャレンジその2
● 営業マン
いやー、実はあの後もたくさんの方にご来場いただきまして、Aさんが希望されている1階3,000万円の住戸にさらにあと3人申し込みそうなんです。
抽選倍率は5倍ですよ。
このように人気物件ですから、抽選に外れてから最上階5,000万円に申し込んでも、再度抽選になるリスクがあります。
すると、この物件を購入できずに完売してしまう可能性もあります。
今なら最上階は抽選なしで買える可能性が高いですよ。
ここで、しびれを切らしたあなた(Aさん)が、「わかりました、最上階の5,000万円の住戸にします」と言えば、それでこの話はお仕舞いです。
営業マンは見事、振り分けに成功しました。
しかし、あなたは「いえ、1階3,000万円の住戸にします」と答え、いよいよ抽選会の日を迎えます。
ちなみに、抽選を行うツールは、下の画像のような木製のガラポンがほとんどです。
このガラポンには、一切仕掛けやカラクリはありません。
実はあらたな検討者(倍率)は「ダミー」
あなた(Aさん)の当選番号は1番です。
Bさんの当選番号は2番。
新たな検討者3人の当選番号は、それぞれ3番と4番と5番とします。
- 1番が当たればあなた(Aさん)が購入できます。当然です。
- 2番が当たればBさんが購入できます。当然です。
- 3番が当たればBさんが購入できます。え…?
- 4番が当たればBさんが購入できます。なんで…?
- 5番が当たればBさんが購入できます。…?
上記のトリック。
実は、3番目と4番目と5番目の検討者は「ダミー」です。
そのような検討者は、この世に存在しません。
仮に架空人物である3番・4番・5番が当選した瞬間、あなた(Aさん)とBさんは落胆し、帰路に着きます。
そしてその夜、営業マンからBさんに「当選の連絡」があります。
● 営業マン
Bさん、良いお知らせがあります。実は、当選された3番(あるいは4番、5番)の方が、マンション購入をご両親に相談していなかったみたいで…、ご両親が購入に反対をされているようです。
当選された方はずっと悩まれていたのですが…、Bさんのために、もうこちらからお断りしました。
Bさん、チャンスです。買いましょう!
すべて架空の話であるにもかかわらず、Bさんは営業マンに感謝するでしょう。
一方、あなた(Aさん)には、下記のような連絡がきます。
営業マンの振り分けチャレンジその3
● 営業マン
「Aさん、最上階の5,000万円を…」
不動産分譲事業主・販売会社は高効率で 「完売」 したい。
分譲の事業主・販売会社は、効率よく 「完売」 したい。
完売タイミングのお尻が変わるだけで、「人件費・広告費・販売促進費」も当然大きく変わり、事業収支に影響します。
分譲事業主(デベロッパー)、および販売会社は、当然のことながら、「少ない広告宣伝費で、かつスケジューリングを前倒しして完売」したいのです。
Bさんは資金計画上「1階3,000万円」の住戸しか購入ができないわけですから、Bさんに「1階3,000万円」を販売・契約して、Aさんには何が何でも「10階5,000万円」に振り分けを行いって効率よく販売し、少しでも完売のスピードを早めようとしています。
もちろん、全ての事業主・販売会社が上記のような手法を取っているとは断言しませんが…、多いのは事実です。
当選確率を上げるには?
ここまでの展開からお察しの方もいらっしゃるかもしれませんが、こういうカラクリのある抽選会で当選確率を上げるには
「私はこの住戸で当選しなければ、この分譲マンションそのものを買う気はありません。」
と、断言することです。
なぜなら、さすれば、ダミーが増える可能性があるからです。そう、あなたを当選させるためのダミーが。
さいごまでお読みいただきありがとうございます。
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コメント
コメント一覧 (1件)
ちょうど抽選をネタに営業を受けていたところでした。なんとなく違和感を感じていたため、読ませていただけて良かったです