提携ローンと非提携ローンの違い・メリットについて解説【住宅ローン】

先日、当ブログにアクセスいただいた方から、住宅ローンの「提携ローンと非提携ローンは何が違うのか?提携ローンの方が金利が良いのか?」という質問をいただきました。

「提携ローンと非提携ローンの違い」について、ここで一度整理してご紹介したいと思います。

 

目次

提携ローンとは?

提携ローンだから金利優遇幅が大きくなるわけではない

提携ローンとは「不動産会社と金融機関が提携しているローン」、この点には違いありません。

では、提携ローンだから金利優遇幅が大きくなるのか?というと、この点については違います

金利優遇の幅については、基本的に

  • お借入人の属性(年収・勤務先・自己資金割合)
  • 借入物件の担保価値

によって決まります。

+αの金利優遇は提携か非提携かにより決まるわけではない

さらに+αの優遇がある場合があります。それは、

  • 大規模新築分譲マンション
  • 大規模新築分譲戸建

の案件です。

金融機関としては、「+αの金利優遇」を提示することで、大規模物件の住宅ローン案件を多く獲得できるチャンスです。従来の金利優遇幅では、他の金融機関とドングリの背比べのため、その物件限定の+αの金利優遇を提示します。

近年は、地方銀行が都内の担保物件を増やすために、積極的に「+αの金利優遇」というお土産を持って、湾岸エリアのマンションなどに営業をしかけています。たとえば、千葉銀行や静岡銀行などです。

今後、大規模災害などが起きた際、担保物件が一エリアに集中していると、担保価値が大きく割れる可能性があります。そのため、「エリアによるリスク分散」をはかるために、+αの金利優遇を提示することで、都内を狙っているわけです。

では、その+αの金利優遇を行うにあたり、提携ローンでなければいけないかというと、Noです。原則は提携ローンで進めますが、非提携ローンでも問題ないはずです。

では、そもそも提携ローン・非提携ローンとは何なのか?

非提携ローン(プロパーローン)とは?

まず、不動産売買の手続きに置いて一般的である「非提携ローン(プロパーローン)」から簡単にご説明します。

物件の引渡し(≒残金決済)の当日、金融機関から買主の口座に住宅ローンが実行されます。そして、買主は売主に残代金を振込で支払います。立ち会った司法書士は、委任状などの必要書類を持ってまっすぐ法務局に向かい、所有権移転・抵当権設定登記をしに行きます。

そのため、非提携ローンの場合の物件引渡し日(≒残金決済)は、平日であることが前提条件です。

  • 売主は代金を受け取った
  • 買主は代金を支払い、買主名義に所有権移転登記がなされた
  • 金融機関(正確には保証会社)は、担保物件に抵当権を設定できた

ということで、キレイサッパリ、無事残金決済完了となります。



提携ローンとは?

提携ローンの場合、金融機関から不動産会社の口座に直接住宅ローンが実行されます(買主から売主へ支払う「住宅ローン以外の残代金」は事前に振込で売主の口座に振り込んでおきます)。

そのため、金融機関に集まる必要がありません。また、物件の引渡し(≒残金決済)を平日に行う必要もありません。

金曜日の段階で「住宅ローン分の残代金」が不動産会社の口座に金融機関から直接実行され、買主から「住宅ローン以外の残代金」を振り込んでもらえれば、土日にマンションのモデルルームでお引渡し手続き、ということも可能になります。

そして、所有権移転登記・抵当権設定登記は、買主が住民票を移転した後の「新住所の住民票および印鑑証明書」をもって行うため、買主がその手続きを終えてから、司法書士が登記手続きに入ります。

つまり、

  • 売主は代金を受け取った
  • 買主は代金を支払ったが、所有権移転はされていない
  • 金融機関(正確には保証会社)は、担保物件に抵当権を設定できていない

という状況になります。

この時、一番リスクがあるのは、お金を貸したのに抵当権が設定されていない金融機関です。しかし提携ローンの場合、売主の不動産会社が返済保証を行っているため、買主が住民票移動等の手続きをせずに行方をくらませた際は、不動産会社が金融機関に弁済することになります。

では、売主の不動産会社だけ損ですね…ということになりうるわけですが、不動産会社は、住宅ローン本審査の段階で、買主から「抵当権設定連帯保証委託契約書」および「委任状」「印鑑証明書」を預かっているため、万が一買主がいなくなった場合は、抵当権を設定します。

提携ローンのメリット

では、提携ローンのメリットは何か?というと、

  • 平日、金融機関に集まらなくてよい
  • 土日に一斉に引渡し手続きができる

ということです。どちらかといえば、売主である不動産会社都合の話です。

新築分譲マンションや新築戸建分譲地の場合、期分けをしてまとめて販売するため、引渡しの数が多く、同じ時期に重なります。

物件の引渡し(≒残金決済)のたびに、一件一件平日に金融機関で行っていたのでは人も時間も足りませんので、提携ローンを利用して、平日中にお金の手続きを終え、土日に一斉に引渡しをします。

買主にとって提携ローンを利用するメリットは、平日の朝に金融機関に集まらなくてよい、ということです。土日休みの方であれば、平日の朝に休むのは結構大変かと思います。



 

まとめ

提携ローンと非提携ローンの違いは以上です。

売主の不動産会社経由で審査を通す場合は、提携ローンで手続きを進めるのがスムーズかと思います。

さいごまでお読みいただきありがとうございました。

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